今年の9月23日に、ニューヨークの国連本部で行われた「国連気候行動サミット」において、
一人の少女の訴えが話題を呼びました。
名前は「グレタ・トゥンベリ」さん。
スウェーデン生まれの16歳の少女です。
この記事では、環境問題に向き合い活動しているグレタさんの今までの活動や
話題になっている両親・病気・トランプ大統領への対応についてまとめていきます。
目次
グレタ・トゥンベリさんのプロフィール
本名はグレタ・エルンマン・トゥーンベリ(Greta Ernman Thunberg)
2003年1月3日、スウェーデンのストックホルム生まれ。
彼女のインタビューによると、小さい頃は内気な少女だったそうです。
気候変動について初めて知ったのは8歳のころ。
学校で気候変動に触れる機会があり、海洋プラスチック問題や白熊が飢えている姿、また異常気象の問題に触れ、その情景が目に焼き付き、頭から離れなくなったといいます。
彼女自身がヴィーガン(菜食主義者)となり、環境配慮した生活を始めました。
11歳のころ、グレタさんは環境問題への不安をはじめとした問題により、うつ状態になってしまい、食べることも話すこともできなくなったと言います。そして学校に行くこともできなくなりました。
2018年8月にはグレタさんの身近なヨーロッパ全体で熱波が起き、スウェーデンで山火事が起きました。
そんな中、アメリカで起きたマージョリー・ストーンマン・ダグラス高校銃乱射事件に対して学生が銃関連法に対して抗議をしている姿を見て、「自分にも何かできるはず」と一念発起し、
2018年9月9日にスウェーデン総選挙が迫る2018年8月に、スウェーデン議会の前で「スウェーデン政府がパリ協定に従って二酸化炭素排出量を削減することを要求するため」に
”SKOLSTREJK FOR KLIMATET(気候変動問題のための学校ストライキ)”というプラカードをもって一人で座り込みを始めるのです。
総選挙までの3週間、彼女は毎日スウェーデン議会の前での座り込みを続けました。
彼女の活動はSNSによって広まりを見せ始めます。彼女の活動がInstagramやTwitterに投稿されたことで、ソーシャルメディアがその動機について記事に取り上げるようになりました。
メディアが彼女の活動を取り上げることで活動を知った学生たちや若者が同じくスウェーデン議会の前でストライキを行い、
数週間後にはスウェーデン内の他の都市でもストライキが起き、またほかの国にも活動が広まっていきました。
総選挙の後、その活動は”Friday for Future(未来のための金曜日)”という気候変動学校ストという活動として、世界中の都市で続いています。
今までの活動
グレタ・トゥンベリさんの活動は、ストライキに留まらず、活動の幅を広げていきます。
スピーチ
グレタ・トゥンベリさんの活動がメディアを通じて多くの人に知られるようになったことによって、彼女は様々な国際的な場でのスピーチを行っています。
主に
2018年12月:ポーランドで行われたCOP24(気候変動枠組条約第24回締約国会議)
2019年1月:スイスで行われた世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)
2019年9月:ニューヨークで行われた国連気候行動サミット
でスピーチを行いました。
2018年12月 COP24(気候変動枠組条約第24回締約国会議)でのスピーチ
2018年 TED × Stockholmでのスピーチ
2019年1月 世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)でのスピーチ
2019年9月 国連気候行動サミットでのスピーチ
受賞歴
2018年に活動を始めてからというものの、数々の受賞をされています。
・2018年5月に若者対象の気候に関するディベート記事執筆コンテストで優勝
・持続可能な開発を推進する子供や若者を対象にした賞である「Children’s Climate Prize」にノミネートされたが、ファイナリストはストックホルムまで飛行機で行かなければならないため受賞できなかった
・2018年11月、Fryshuset scholarship of the Young Role Model of the Yearを受賞
・2019年、国際女性デーを記念してスウェーデンで最も重要な女性に選ばれる
・2019年3月31日、ドイツのゴールデン・カメラ・アワードのSpecial Climate Protection賞を受賞
・2019年の5月にはTime誌の「2018年世界で影響力のある未成年25人の1人」に選出された
・2019年9月25日には「ライト・ライブリフッド賞」を受賞
~これから~
2019年のノーベル平和賞にもノミネートされており、実際に受賞になると2017年に17歳で受賞したマララ・ユスフザイさんの記録を更新し、史上最年少でのノーベル平和賞受賞となります。
ヨットの航海
2019年1月の世界経済フォーラムにおいて、スイスのダボスまで往復で65時間かけての鉄道を使った際も話題になりましたが、
この度、ニューヨークまで飛行機を使わずに温室効果ガスを出さないヨットを使って大西洋を横断することが話題になりました。
ソーラーパネルと水中タービンを備えたヨットを使い、15日間をかけてイギリスからアメリカのニューヨークに渡りました。
ヨットには全部でグレタさん、グレタさんの父親を含め6人が乗船し、無事に到着たのですが・・
ただ、大西洋横断に使用したヨットの痛みがひどく、どのような手段を使って帰国するかどうかは未定となってしまっています。
グレタ・トゥンベリさんの家族(両親・兄弟)はどんな人たちなのか
(https://www.svd.se/en-familj-och-planet-i-krisより引用)
グレタさんの母親はオペラ歌手である「マレーナ・エルンマン」、
父親は俳優である「スバンテ・トゥーンベリ」という方。
どちらも芸術肌の方のようです。
写真見てかっこよすぎてびっくりしました。
また、父方の祖父も俳優兼監督の「オロフ・トゥーンベリ」という代々俳優の家系のようです。
また、グレタ・トゥンベリさんには一人の妹「ベアタ・トゥンベリ」さんがおり、
14歳ながらスウェーデンで歌手活動を行っています!
やはり両親の影響もあり音楽の才能があるんですね。
グレタさんがInstagramで投稿したこともあり、ベアタさんも注目されているようです。
母親は飛行機移動をやめた?
母親のマレーナ・エルンマンさんは、オペラ歌手として国際的に活躍していて飛行機を使って移動していましたが、娘であるグレタさんから環境負荷について話をされ、飛行機を使うことにより生まれる温室効果ガスについて向き合った結果、「国際的な活動をやめる」という決断をしました。
母親もすごく勇気のいる決断だったと思いますが、
この(親の行動を変えることが出来た)結果によってグレタさんが「行動することで、変えることが出来る」と認識できたのではと思います。
母親の「娘は肉眼で二酸化炭素を見ることが出来る」発言のデマ
未だに日本で広がっているデマの一つに、グレタさんの母親が
「娘は肉眼で二酸化炭素を見ることが出来る」と発言した、というものです。
このデマはもともと2019年の5月に海外で話題になったもの。
ドイツの新聞社「Frankfurter Allgemeine Zeitung」が原文を切り取ってツイートしたことから、ドイツを中心に母親に対する批判が出ていました。
もともと、比喩表現として使ったものを切り取られたため誤解が生まれてしまったようです・・
原文の内容としてはこちら↓
https://news.yahoo.co.jp/byline/shinoharashuji/20190927-00144475/より引用
そしてこの騒動に対して、2019年5月時点でグレタさん自身が
「いまもっとも面白い陰謀論のひとつ」とFacebookで投稿しています。
詳しくはこちら
日本でも情報が切り取られて報道されることは多々ありますが、海外の情報も注意してみなければいけませんね。。
グレタ・トゥンベリさんは病気・障害なの?
グレタさん自身が「アスペルガー症候群」「強迫性障害」「選択的無言症(場面緘黙)」という病気であると公表しています。
アスペルガー症候群とは、広い意味での「自閉症」のひとつのタイプです。最初に症例を報告したハンス・アスペルガーというオーストリアの小児科医の名前にちなんでつけられました。アスペルガー症候群は、自閉症の3つの特徴のうち「対人関係の障害」と「パターン化した興味や活動」の2つの特徴を有し、コミュニケーションの目立った障害がないとされている障害です。言葉の発達の遅れがないというところが自閉症と違うところです。知的発達に遅れのある人はほとんどいません。
厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイトより引用
強迫性障害の症状を強迫症状といいます。強迫症状は、「強迫観念」と「強迫行為」があり、このふたつが存在して初めて強迫障害と診断されます。
強迫観念とは、きわめて強い不安感や恐怖感のことです。対象物がない不安や、「手が汚れているのではないかと気になって仕方がない」「家の鍵を閉めたか気になって仕方がない」などある特定の対象物に対する不安や恐怖です。強迫行為とは、強迫観念を打ち消すために繰り返し行う行為です。たとえば「手を一日に何十回・何百回も洗う」「会社に行く途中に何度も自宅に戻って施錠の確認をする」などです。普通のひとでも不安感はありますが、この疾患では強迫観念・行為によって日常生活に支障がでてしまいます。「施錠の確認で何度も家に帰っていたら会社に行けなかった」などです。
さらにこの疾患の特徴は、自分の行動が不合理だという自覚が患者自身にあることです。そのため「自分はおかしい」「周囲から変だと思われてしまう」という恐怖から、行動範囲が非常にせまくなってしまうことがあります。
治療には、抗不安薬や抗うつ剤を用いた薬物療法や行動療法などの精神療法が有効とされています。
厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイトより引用
場面緘黙(かんもく)は、学校や職場など特定の社会的場面で話すことができないという症状のある精神疾患です。すべての場所で話せないというわけではなく、家庭など他の場所や場面では問題なく話すことができます。
https://snabi.jp/article/171より引用
複数の病気であると診断されているようですが、
彼女自身は
「アスペルガー症候群であることは私の誇りである」
「アスペルガー症候群は才能」
と語っています。
確かに、心に響くようなダイレクトな言葉や、環境問題に対する人一倍強い懸念という部分では、そのような特性があるからこそできている部分があるのかもしれません。
まとめ
今回の記事では、グレタ・トゥーンベリさんについてまとめました。
16歳ながら一人で行動を起こし、世界に環境問題に対する意識を向けることを成し遂げたことは、尊敬に値します。
私自身が環境問題に対して何ができるのか、考えすぎて鬱になってしまった経験がありますが、彼女がすごいのはそんな状態から立ち上がり、行動を起こしたところだと思います。
行動に起こしたからこそ、変化が生まれると実感しました。
一方で、多方面から注目されていて、批判や中傷もあり、、
「ここまで大きくなるとは思っていなかった」と語っていたこともあり、
16歳の少女が耐えられるのだろうかと心配になりました。。
今後、彼女が起こした行動を一時的なムーブメントで終わらせずに、
具体的に様々なことが変わっていくことが出来ればと思います。